◎ 将軍家の秘苑が都会のど真ん中に——浜離宮恩賜庭園で潮入の池・菜の花・月見散歩を楽しむ


浜離宮恩賜庭園(はまりきゅうおんしていえん)は、東京都中央区にある都立庭園で、東京湾の海水を引き入れた「潮入の池(しおいりのいけ)」を持つ江戸時代最高峰の池泉回遊式庭園です。国の特別名勝および特別史跡に二重指定されており、東京都内で唯一、実際に海水が出入りしている潮入の池が今なお機能しています。汐留の高層ビル群と三百年の黒松が同じ画角に収まる「和と近代が共存する景色」は、国内外の旅行者を惹きつけてやみません。

江戸時代には松平綱重が造り、のちに将軍家の別邸「浜御殿」として数々の改修が加えられ、11代将軍・家斉の時代にほぼ現在の姿が完成しました。明治以降は皇室の離宮となり、1945年(昭和20年)11月に東京都へ下賜。1946年(昭和21年)4月に浜離宮恩賜庭園として有料公開が開始されました。2026年4月1日に一般開園80周年を迎えた記念の年であり、現在も歴史パネル展・記念演奏会・記念植樹など80周年記念事業(2026年3月20日〜12月25日)が開催中です。

基本情報

  • 正式名称:浜離宮恩賜庭園(都立文化財庭園)
  • 所在地:東京都中央区浜離宮庭園1-1
  • 電話:03-3541-0200(サービスセンター、9:00〜17:00)
  • 面積:約25.2ha(周囲の水面を含む指定面積)
  • 管理:公益財団法人 東京都公園協会
  • 一般開園:1946年(昭和21年)4月/2026年に開園80周年
  • 文化財指定:国の特別名勝および特別史跡(1952年〈昭和27年〉指定、周囲の水面含む)
  • 特徴:都内唯一、実際に海水が出入りする潮入の池。2つの鴨場(庚申堂鴨場・新銭座鴨場)、復元御茶屋群(中島の御茶屋・松の御茶屋・鷹の御茶屋)、三百年の松などの江戸の遺構が現存

⏰ 開園時間・休園日

  • 開園時間:9:00〜17:00(最終入園16:30)
  • ※夜間特別観賞(お月見散歩など)の期間は開園時間を延長(21:00頃まで)
  • ※夏季の早朝開園を実施する年あり。公式サイトで要確認
  • 休園日:年末年始(12月29日〜1月1日)

💴 入園料

  • 一般:300円
  • 65歳以上:150円
  • 小学生以下・都内在住/在学の中学生(学生証提示):無料
  • 身体障害者手帳等提示:本人および付添者1名まで無料(障害者手帳アプリ「ミライロID」も使用可)
  • 団体割引:20名以上の場合適用あり
  • 無料公開日:みどりの日(5月4日)・都民の日(10月1日)
  • 老人週間(9月15日〜21日):60歳以上の方は無料
  • 年間パスポート(浜離宮のみ):一般1,200円・65歳以上600円
  • 都立9庭園共通年間パスポート:一般4,000円・65歳以上2,000円
  • 浜離宮・旧芝離宮 共通「園結びチケット」:一般400円・65歳以上200円(有効期限なし)
  • 対応決済:交通系電子マネー・クレジットカード(JCB/VISA/MASTER/AMEX等)・コード決済(PayPay/楽天Pay/d払い/au Pay/メルペイ等)・Alipay・WeChat Pay
  • ⚠️ 2026年「浜離宮花と緑の集い」(4/1〜5/31):中央区内在住の方は入園整理券(区役所・各特別出張所・庭園で配布)の提示で無料入園可能。酒類持込み・宴会は不可

🅿 駐車場

  • 一般来園者用の駐車場なし
  • 大手門口に観光バス・障害者用車両の駐車スペースあり(予約不要・入園中のみ利用可)
  • 公共交通機関での来園を強くおすすめします

アクセス

  • 大手門口(メイン入口・庭園北側):
    • 都営大江戸線「築地市場」駅(E18)・「汐留」駅(E19)徒歩7分
    • ゆりかもめ「汐留」駅(U02)徒歩7分
    • JR・東京メトロ銀座線・都営浅草線「新橋」駅徒歩12分
  • 中の御門口(庭園北西側):都営大江戸線・ゆりかもめ「汐留」駅10番出口から徒歩5分 / JR「浜松町」駅徒歩15分
  • 水上バス:東京水辺ライン(日の出桟橋・浅草方面)、東京クルーズ(浅草方面)から浜離宮着桟橋へ。約680円〜で東京湾・隅田川から来園できる特別な体験。時刻・料金は各社公式サイトで要確認

💡 旧芝離宮恩賜庭園との組み合わせがおすすめ:浜離宮から徒歩約15分の旧芝離宮恩賜庭園と合わせた「園結びチケット」(一般400円)なら2庭園をお得に楽しめます。

歴史

この地は寛永年間(1624〜1644年)まで将軍家の鷹狩り場で、一面の芦原でした。承応3年(1654年)、四代将軍・家綱の弟で甲府宰相の松平綱重が将軍から海を埋め立てる許可を得て「甲府浜屋敷」と呼ばれる別邸を建てたのが庭園の始まりです。その後、綱重の子・綱豊が六代将軍・徳川家宣として就任したのを機に、この屋敷は将軍家の別邸となり「浜御殿」と改名されました。以来、歴代将軍によって幾度も造園・改修が行われ、11代将軍・家斉の時代(18世紀末〜19世紀初頭)にほぼ現在の姿の庭園が完成しました。

明治維新後は宮内庁所管の皇室離宮「浜離宮」となり、要人の接待・饗応の場として使われました。明治天皇がグラント元米国大統領を迎えた迎賓施設「延遼館(えんりょうかん)」もこの地に建てられ、西洋音楽が奏でられるなど「おもてなしの庭」としての歴史も刻まれています。1923年の関東大震災・第二次世界大戦の戦火で御茶屋などの建造物が焼失・損傷しましたが、1945年(昭和20年)11月3日に東京都へ下賜され、翌1946年(昭和21年)4月に整備のうえ有料公開が開始されました。1948年(昭和23年)に国の名勝・史跡、1952年(昭和27年)11月に周囲の水面を含めて国の特別名勝・特別史跡に指定されています。

見どころ

🌊 潮入の池(しおいりのいけ)

  • 東京湾の海水を引き入れた大きな池で、潮の満ち引きによって水位・水景が変わる独特の庭園様式。旧芝離宮・清澄庭園・旧安田庭園なども昔は潮入の池だったが、現在、実際に海水が出入りしているのは都内でここだけ
  • 池の中央には「中の島」があり、「中島の御茶屋」が水面に浮かぶように建つ。池の奥には「お伝い橋」(朱塗りの橋)が架かり、絶好の撮影スポット
  • 池の水辺にはカワウ・カモ・シラサギなどの野鳥が飛来し、バードウォッチングの観点でも楽しめる

🏯 御茶屋群(復元建造物)

  • 中島の御茶屋:潮入の池の中島に立つ御茶屋。抹茶(750円)・抹茶と季節の上生菓子セット(1,000円)などを池を眺めながら楽しめる。予約不可の先着順。桜・菜の花シーズンは開園直後(9時台)が比較的空いている
  • 松の御茶屋:江戸時代の絵図をもとに復元された茶室。「松の御茶屋でお点前拝見」などのイベントが不定期開催される
  • 鷹の御茶屋:2019年(平成31年)に復元完成した最も新しい御茶屋(完成5周年記念イベントが2024年に開催)。鷹狩り文化ゆかりの名称
  • 各御茶屋の内部公開は定期的な復元建物イベント(事前申込・先着制)で実施

🌲 三百年の松

  • 6代将軍・家宣による大改修を称えて植えられたと伝わる黒松の巨木。都内最大級の規模を誇る
  • 高層ビル群(汐留シオサイト)を背景に堂々とたたずむ姿は浜離宮を象徴する一枚。毎年初夏には「みどり摘み(松の手入れ)伝統技能見学会」が開催され、職人の技を間近で見学できる(事前申込・有料)

🦆 鴨場(庚申堂鴨場・新銭座鴨場)

  • 江戸時代の将軍が鴨猟を楽しんだ場所。細い水路(「引堀(ひきぼり)」)と木立に囲まれた静かなエリアで、江戸の文化を今に伝える希少な景観
  • 「水路を利用したおとり鴨猟」という将軍家独自の鴨猟スタイルのゆかりの地。「お庭楽問〜西洋馬術導入ゆかりの地=浜離宮〜」などの特別ガイドイベントも不定期開催

🌼 菜の花畑・花木園

  • 約3,000㎡の敷地に約30万本の菜の花が咲き誇る花畑(2〜3月が見頃)。黄色の絨毯と汐留の高層ビル群のコントラストは壮観で、都内随一の菜の花スポットとして知名度が高い
  • 秋はコスモスに植え替えられ、コスモスとビル群の共演も見事(10月〜11月)
  • 梅林(1〜2月)・ハナショウブ(6月)・アジサイ(6月)・秋の紅葉と、花木園でも四季折々に花が楽しめる

🌙 月見台・内堀広場

  • かつての将軍の月見の舞台に設けられた「月見台」。毎年秋の「浜離宮でお月見散歩」イベントでは月見台にお供え物が飾られ、伝統芸能の演奏が行われる
  • 内堀広場は開放的な芝生エリア。80周年記念演奏会もここで開催された

🗓️ イベントカレンダー

🎉 2026年通年 開園80周年記念事業(3/20〜12/25)

  • 開園80周年記念 歴史パネル展:濱御殿から浜離宮へ至る歴史を紹介するパネル展示(期間中随時)
  • 記念植樹・植樹式:かつて「観桜会」が催された横堀付近に桜を補植。中央区内在住・在学の小学生が参加する植樹式を開催(申込制・抽選)
  • 開園80周年記念演奏会(5月9日):フルート・ヴァイオリン・ピアノのクラシック三重奏。明治時代に延遼館で海外要人をおもてなしした史実をテーマに、内堀広場の芝生でレジャーシートを敷いて鑑賞できるスタイル。終了
  • 第二弾・第三弾のイベントについては公式サイトで随時発表

🌸 春(2〜4月)菜の花・桜・花の集い

  • 2月〜3月が菜の花の見頃、3月下旬〜4月中旬が桜(ソメイヨシノ・ヤエザクラ)の見頃、GW頃に藤と春の花リレーが続く
  • 浜離宮花と緑の集い(4/1〜5/31):中央区在住者は整理券提示で無料入園可能
  • 宴会・アルコール類の持ち込みは禁止。宴会なしで静かに楽しめる穴場花見スポットとして知られる

🌿 初夏(5〜6月)ハナショウブ・藤・伝統技能見学

  • 5月4日(みどりの日)は無料公開日
  • 6月にはハナショウブ・アジサイが咲く。水辺にたたずむ花の姿が潮入の池と絶妙に調和する
  • 伝統技能見学会「松の手入れ(みどり摘み)」:三百年の松を職人が手入れする様子を間近で見学できる(5月頃・事前申込)

🌙 秋(9〜11月)お月見散歩・コスモス・紅葉

  • 浜離宮でお月見散歩:栗名月にあわせて夜間開園(〜21:00頃)・ライトアップを実施。月見台お供え式・伝統芸能公演・お月見特別ガイドツアー・お抹茶限定メニューなど。2025年は10月31日〜11月5日の6日間開催。通常入園料のみで参加可能(ガイドツアーは参加費別途500円)
  • 10月はコスモスの見頃。10月1日(都民の日)は無料公開日
  • 9月15日〜21日の老人週間は60歳以上が無料
  • 11月の紅葉は潮入の池のほとりで特に美しく、水面への映り込みが幻想的

❄️ 冬(12〜2月)梅・スイセン・元日翌日から開園

  • 1〜2月はスイセンと梅が静かに咲く。混雑なくのんびり散策できる穴場シーズン
  • 年始は12月29日〜1月1日休園。1月2日より開園(お正月特別イベントを実施する年あり)
  • お正月期間の「放鷹術(ほうたかじゅつ)の実演」が過去に実施されたことあり(要確認)

四季の楽しみ方まとめ

  • 🌸 春:30万本の菜の花(2〜3月)→ソメイヨシノ・ヤエザクラ(3月末〜4月中旬)→藤(GW頃)と花リレーが2〜3か月続く。宴会禁止・比較的すいていて静かな花見が楽しめる
  • 🌿 夏:ハナショウブ・アジサイと水辺の緑。夏季の早朝開園が実施される年は都会の喧騒の前に静かな庭園を一人占め
  • 🍂 秋:コスモスと紅葉、お月見散歩のライトアップが最大の見どころ。夜の潮入の池に映る光と月の景色は特別感がある
  • ❄️ 冬:梅とスイセンが静かに咲く穴場シーズン。ビル群を背景に冬枯れの松と池を眺めながら、御茶屋でお抹茶を一服。一人でも訪れたくなる静謐な時間

訪問アドバイス

  • 水上バスで来園するのが特別感抜群:浅草・日の出桟橋から隅田川・東京湾を下って浜離宮着桟橋に到着するルートは、東京の水辺の歴史を感じながら庭園に入場できる特別な体験。往路か復路どちらかに取り入れるだけで旅の記憶が全然変わります
  • 菜の花・桜シーズンは平日の夕方(15:00〜)が狙い目:16:30が最終入園なので時間の余裕は少ないですが、この時間帯は入園者が減り、夕光に染まった菜の花や潮入の池の景色がひときわ美しくなります
  • 中島の御茶屋は開園直後が混みにくい:人気の御茶屋は予約不可の先着順。桜・菜の花シーズンは10時前後から行列ができることも。開園直後(9〜9:30)に入園して真っ先に向かうのがおすすめです
  • 飲食・アルコール持ち込みは禁止:ピクニック・宴会・アルコール類の持ち込みは不可です。売店「濱見世(はまみせ)」で軽食・スイーツを購入するか、御茶屋でお抹茶を楽しみましょう
  • 撮影は営利・非営利問わず事前申請必須:個人SNS投稿であっても商業目的の映像・写真撮影はサービスセンターへの電話申請が必要です。来園前に確認しておきましょう(03-3541-0200)
  • 再入場不可:一度退園すると再入園はできません。入園前に持ち物を確認してから入りましょう

浜離宮恩賜庭園【まとめ】

浜離宮恩賜庭園は、江戸時代の将軍家の秘苑が時を超えて都会の中心に残った、東京でも唯一無二の庭園です。
潮入の池・三百年の松・復元御茶屋群という江戸の遺構が、汐留の高層ビル群を背景に堂々とたたずむ景色は、東京のどこにもない特別なコントラストを生み出しています。
2026年は開園80周年の節目の年。記念イベントが通年で開催されるなか、春の菜の花・秋のお月見散歩を始め、一年を通じて訪れるたびに新しい表情を見せてくれる庭園です。
旧芝離宮恩賜庭園との「園結びチケット」や水上バスと組み合わせながら、ぜひ江戸の粋を現代の東京で堪能してみてください。

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最新の開花情報・イベント・開園80周年記念事業については、浜離宮恩賜庭園 公式サイト(東京都公園協会):https://www.tokyo-park.or.jp/park/hama-rikyu/ および公式X(旧Twitter):@HamarikyuGarden でご確認ください。