◎横浜港を見下ろす丘の上にバラと洋館と歴史が重なる──港の見える丘公園


横浜市中区山手町の高台に広がる港の見える丘公園(みなとのみえるおかこうえん)は、横浜港・横浜ベイブリッジ・みなとみらいの街並みを一望できる横浜屈指の展望スポットです。昭和22年(1947年)に流行した歌謡曲「港が見える丘」(東辰三作詞・作曲、平野愛子歌唱)が大ヒットし、この眺望の地に歌碑が置かれたことが公園名の由来とも言われています。開港以来の歴史を刻む洋館群、約330種・約1,950株にのぼる3つのバラ園、フランス領事館跡地の「フランス山」──これほど多くの見どころが凝縮された公園は、横浜でも唯一無二の存在です。

1991年にバラ園が開設され、2016年には3つのエリアにリニューアル。「イングリッシュローズの庭」「バラとカスケードの庭」「香りの庭」として生まれ変わり、春と秋の2回、横浜ローズウィークに合わせて最高の見頃を迎えます。山手西洋館巡り・元町・中華街・外国人墓地との組み合わせが楽しく、横浜観光の定番コースとして国内外から多くの人が訪れます。

この記事では、港の見える丘公園の歴史・3つのバラ園の詳細・文化施設・アクセスまでを丁寧にまとめています。訪問前にぜひチェックしてみてください。

🗂️ 基本情報

  • 正式名称:港の見える丘公園(みなとのみえるおかこうえん)
  • 所在地:神奈川県横浜市中区山手町114
  • 種別:横浜市立風致公園
  • 面積:57,765㎡(約5.8ha)
  • 開園:1962年(昭和37年)10月
  • 開園時間:24時間開放(フランス山は季節により開門時間あり ※下記参照)
  • 入園料:無料
  • 駐車場:有料17台(30分250円、土日祝30分300円)
  • 問い合わせ:045-671-3648(横浜市都心部公園担当)

🕐 フランス山の開門時間

  • 4月〜9月:6:00〜19:00
  • 10月〜11月:7:00〜18:00
  • 12月〜1月:7:00〜17:00
  • 2月〜3月:7:00〜18:00

🚃 アクセス

  • みなとみらい線「元町・中華街」駅 6番出口(アメリカ山公園口)から徒歩約5〜7分。6番出口のエレベーター・エスカレーターでアメリカ山公園に上り、外国人墓地沿いに進む経路が坂道の少ない楽なルート
  • JR根岸線「石川町」駅から徒歩約20分
  • バス:JR桜木町駅始発・保土ケ谷駅行「11系統」で「港の見える丘公園前」下車すぐ(所要約10分)
  • バス:JR根岸線「山手」駅から横浜市営バス20系統「港の見える丘公園」下車
  • 車:首都高速「新山下」出入口から約10分。駐車場は17台(有料)で非常に少ないため、公共交通機関を強くおすすめ。休日・バラの見頃時期は特に混雑

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🏛️ 公園の歴史

横浜が国際貿易港として開港した1859年(安政6年)以降、山手地区は外国人居留地となりました。この丘の高台側にはイギリス軍が、麓側にはフランス軍が駐屯し、その後それぞれに「イギリス山」「フランス山」の名称が残りました。接収解除後には英国総領事公邸(現・横浜市イギリス館)とフランス領事館が建設され、開港史の重要な舞台となっています。

  • 1962年(昭和37年):公園として整備・開園
  • 1978年(昭和53年):大佛次郎記念館が開館
  • 1984年(昭和59年):神奈川県立神奈川近代文学館が開館
  • 1984年(昭和59年):横浜人形の家とフランス山を結ぶフランス橋が開通
  • 1986年(昭和61年):大佛次郎記念館と近代文学館を結ぶ霧笛橋が開通(同じ浦辺鎮太郎氏の設計)
  • 1991年(平成3年):横浜市の花「バラ」制定を記念してバラ園が公開
  • 1999年(平成11年):山手111番館整備に伴いローズガーデンとして拡張
  • 2016年(平成28年):バラ園を3エリアにリニューアル(イングリッシュローズの庭・香りの庭・バラとカスケードの庭)

フランス山には、フランス領事館の遺構として、パリの旧中央市場(レ・アール)の地下構造に由来する純鋳鉄製骨組み「パビリオン・バルタール」が移築・復元されており、フランス橋の欄干にはRF(République française=フランス共和国)のメダリヨン(円形飾り)も残っています。

🌹 3つのバラ園──330種・1,950株の競演

港の見える丘公園のバラ園は計3エリアで構成され、合計約330種・約1,950株のバラが植栽されています(横浜市公式)。それぞれテーマが異なり、3エリアを巡ることで多彩なバラの世界を楽しめます。バラの見頃は春(5月中旬〜6月上旬)と秋(10月中旬〜11月中旬)の年2回です。

🌸 ①イングリッシュローズの庭

  • 横浜市イギリス館(旧英国総領事公邸)の前庭に広がる英国風ローズガーデン。面積約2,600㎡
  • 約150種・約800株のバラと宿根草・一年草を混植した、イギリス式混植ガーデンが特徴
  • 「黄色の回廊」(グラハム・トーマスなど黄色のバラが並ぶアーチ)と「赤の回廊」(ザ・プリンスなどの赤いバラ)が見どころ。レンガ柱に誘引されたバラのアーチが写真映えするフォトスポット
  • 山手111番館のカフェテラスから一体的に庭園を眺めることができ、西洋館の私庭のような優雅な雰囲気に
  • 2016年リニューアル時に英国式の混植スタイルに生まれ変わり、バラ以外の草花も楽しめる四季の庭として整備

🌸 ②バラとカスケードの庭

  • 横浜市イギリス館と山手111番館の裏手(後庭)にあたる斜面を活用した立体的なガーデン。約80種・約750株(横浜市公式)
  • 中央を流れるカスケード(小滝)と噴水がバラ園に水の音を添え、ガゼボにはつるバラが絡む
  • 大佛次郎記念館・横浜市イギリス館・山手111番館の3洋館に囲まれたロケーションが唯一無二。洋館の庭を散歩しているような感覚を楽しめる
  • 山手111番館の横のスペースには宝塚市から寄贈された品種「ベルサイユのばら」も植栽されており、ファン必見

🌸 ③香りの庭(沈床花壇)

  • 大佛次郎記念館の前に広がる沈床式花壇(周囲より一段低い西洋庭園様式)。面積約2,500㎡。約100種・約400株(横浜市公式)
  • 中央の丸い池と噴水を囲む4つのエリアに、香りのテーマ別にバラが集められている:「ダマスクの香り」「フルーツの香り」「ティーの香り」「ミルラの香り」
  • 各エリアをつなぐバラのアーチをくぐるたびに異なる香りが漂い、視覚と嗅覚の両方でバラを楽しめる。横浜市のバラ「セント オブ ヨコハマ」も植栽されている
  • 外周にはブルガリア産の香油の原料となるオールドローズ「カザンリク」が植えられており、春限定の豊かなダマスク香が体験できる
  • 噴水周辺には季節の花も植え替えられる(春:チューリップ、夏:ペチュニア、秋:マリーゴールド)

🌿 展望台・フランス山

🌊 展望台(展望広場)

  • 長さ約30mの半円型屋根付き展望台から横浜港・横浜ベイブリッジ・みなとみらいの高層ビル群を一望できる
  • 公園の海抜は約38m。手前の建物も視野に入るが、開放感があり港の雰囲気を満喫できる
  • 展望広場の一角に歌謡曲「港が見える丘」(東辰三作詞・作曲、平野愛子歌唱、1947年)の歌碑が置かれている。この曲が公園名の由来ともなっている
  • 夜は港のライトアップが美しく、デートスポットとして定番。ただしフランス山エリアは夜間閉鎖されるため注意

🏔️ フランス山

  • 元町・中華街駅6番出口からアクセスするとフランス橋を渡ってフランス山から入ることになる、公園の玄関口的なエリア
  • フランス領事館跡地には純鋳鉄製骨組み「パビリオン・バルタール」(フランス・パリ市から寄贈)が復元されており、独特の歴史的景観を形成している
  • 園内の古井戸(フランス海軍が掘ったとされる)も残り、横浜開港時代の面影が色濃く残るエリア
  • フランス山から展望広場へつながるルートが公園散策の基本動線。春は桜も楽しめる

🏛️ 園内の文化施設

🇬🇧 横浜市イギリス館(旧英国総領事公邸)

  • 1937年(昭和12年)、英国総領事公邸として建設された鉄筋コンクリート2階建ての洋館。設計はイギリス政府工務局上海事務所。1990年に横浜市指定有形文化財に指定
  • 玄関脇の銘版「GR Ⅵ 1937」はジョージ6世の時代を示し、建物の由緒を伝える
  • 1969年(昭和44年)に横浜市が取得。現在は1階ホールをコンサートや発表会に貸し出し、2階の復元寝室・展示室を一般公開
  • 開館時間:9:30〜17:00 休館日:第4水曜日(祝日の場合は翌日)・年末年始(12/29〜1/3) 入館料:無料

🏠 山手111番館

  • 1926年(大正15年)にアメリカ人両替商J.E.ラフィンの住宅として建設されたスパニッシュスタイルの洋館。設計はJ.H.モーガン(近代建築の礎を築いた建築家)
  • 現在は昭和初期の洋館内装の再現展示と建築家モーガンに関する展示を公開。1階のカフェ「Cafe the Rose」では、ローズティーをはじめとしたドリンク・スイーツを提供
  • 開館時間:9:30〜17:00 休館日:第2水曜日(祝日の場合は翌日) 入館料:無料

📚 大佛次郎記念館

  • 横浜市出身の作家・大佛次郎(おさらぎじろう)(1897〜1973年)の記念館。1978年(昭和53年)開館。約3万5千冊の蔵書と愛蔵品(猫の置物コレクションが有名)を保管・展示
  • 館内装飾にはフランス国旗の青・白・赤の3色が使われており、氏のフランス文学への造詣が反映されている
  • 観覧時間:4月〜9月 10:00〜17:30(入館17:00まで)/ 10月〜3月 10:00〜17:00(入館16:30まで)
  • 休館日:毎週月曜(祝日の場合は翌日)・年末年始 観覧料:大人(高校生含む)200円・小中学生100円

📖 神奈川県立神奈川近代文学館

  • 1984年(昭和59年)開館。神奈川にゆかりのある作家たちの文学資料を収蔵・展示する専門文学館
  • 大佛次郎記念館と「霧笛橋」でつながっており、両館を続けて巡ることができる
  • 企画展や常設展のほか、図書閲覧室も設けられている(観覧料は展示により異なる)

📅 イベント:横浜ローズウィーク2026

🌹 横浜ローズウィーク2026

  • 開催期間:2026年5月2日(土)〜6月2日(火)
  • メイン会場:山下公園・港の見える丘公園・横浜イングリッシュガーデン ほか市内各所
  • 「ガーデンネックレス横浜2026」(2026年3月19日〜6月14日)の一環として開催
  • 港の見える丘公園では「イングリッシュローズの庭」「バラとカスケードの庭」「香りの庭」が最も華やかな時期を迎える
  • 関連イベントとして「山手ローズウィーク」(5月2日〜24日)が横浜市イギリス館を会場に開催。ローズコンサートやオープンガーデンピクニックティーなどを実施
  • 2026年の春バラは例年より開花が早めで、GW後半(5月上旬〜中旬)に見頃〜満開のピークを迎えた

🌸 四季の楽しみ方

  • 春(4〜6月):バラの最盛期。フランス山では桜・チューリップも楽しめる。横浜ローズウィーク期間はバラ+洋館の組み合わせが最高潮を迎え、観光客が最も多い時期
  • 夏(7〜9月):バラは一旦休憩。木々の緑が深く、展望台からの眺めが特に美しい。夕暮れ時の港の夜景が幻想的
  • 秋(10〜11月):秋バラが開花。春に比べて花が小ぶりになるが、香りはむしろ強いと言われる。紅葉との競演も見られる。人出が落ち着きゆっくり散策できる穴場シーズン
  • 冬(12〜3月):空気が澄んで港の眺望が最も遠くまで開ける季節。人が少なく洋館の静かな景観を楽しめる。横浜市イギリス館では年末年始のクリスマス装飾イベントが人気

💡 訪問者のためのTips

  • 元町・中華街駅6番出口からが楽:6番出口のエレベーター・エスカレーターでアメリカ山公園に上り、外国人墓地沿いに歩くルートが坂道の負担が少ない。元町・中華街駅からはスロープやエレベーターが充実しており、ベビーカーや車椅子でも比較的アクセスしやすい
  • 歩きやすい靴は必須:公園内は起伏・坂道・石畳が多い。ヒールや履き慣れていない靴での訪問は避けよう。フランス山〜展望台〜イギリス山と歩くとそれなりのアップダウンがある
  • 周辺にコンビニがない:公園の周囲には飲食店やコンビニがほぼないため、飲み物やお弁当は事前に用意しておくのがおすすめ。山手111番館のカフェ「Cafe the Rose」(定休:第2水曜)や、元町・中華街周辺のカフェを利用するのも手
  • ペット同伴OK:公園内はリードをつけた状態でのペット連れが可能。愛犬との散歩を楽しむ地元の方も多い
  • 夜間のフランス山は閉鎖:フランス山エリアは季節ごとに開門・閉門時間が設定されている。夜景を楽しみたい場合は展望広場(イギリス山側)へ向かうこと
  • 山手西洋館巡りとセットで:公園から徒歩圏内に山手本通りの西洋館群(エリスマン邸・ベーリック・ホール・外交官の家など)が並んでいる。外国人墓地・元町・中華街・山下公園と組み合わせた横浜山手1日コースが人気。スタジオジブリ映画「コクリコ坂から」の舞台モデルとしても有名

港の見える丘公園【まとめ】

港の見える丘公園は、横浜の開港史・洋館建築・バラ文化が高台の一角に凝縮された、唯一無二の公園です。約330種・約1,950株のバラを誇る3つの庭園は、西洋館の美しい外壁を背景にした景観が格別で、バラの見頃には何時間でも過ごせる豊かさがあります。
展望台からの横浜港の眺め、フランス山に残る歴史の遺構、大佛次郎記念館や横浜市イギリス館の静かな見学──どれも無料(一部施設は有料)で体験できる贅沢なスポットです。

横浜の公園をさらに探すなら神奈川県の公園・庭園一覧もご覧ください。バラや洋館が楽しめる近隣スポットとして山下公園もあわせてどうぞ。

最新のイベント情報・開花状況・各施設の詳細は横浜市公式ページでご確認ください。