◎小松城三の丸跡に息づく池泉回遊式庭園──芦城公園で辿る、前田利常ゆかりの歴史と四季の彩り


石川県小松市の中心部、小松市役所のすぐそばに広がる芦城公園(ろじょうこうえん)は、加賀藩三代藩主・前田利常が晩年を過ごした小松城の三の丸跡に整備された、歴史ある都市公園です。
面積約4.1ヘクタールの敷地には、二つの池と滝、築山を配した池泉回遊式の日本庭園が広がり、博物館や図書館、美術館、茶室といった文化施設と一体になった、小松市民の憩いの場として親しまれています。

「芦城」という名前は、公園が整備される前に葦(あし)が生い茂っていたこの地と、小松城跡という歴史を組み合わせた造語です。兼六園のような大規模な名園ではありませんが、こぢんまりとした敷地の中に歴史・文化・自然がぎゅっと凝縮されており、桜の名所としても地元で長く愛されています。

この記事では、芦城公園の歴史や見どころ、季節の花の見頃、そして車で訪れる方のためのアクセス・駐車場情報まで、詳しくご紹介します。

芦城公園の歴史

芦城公園がある場所は、加賀藩三代藩主・前田利常(前田利家の四男)が隠居後に晩年を過ごした小松城の三の丸跡にあたります。1658年(万治元年)に利常が没すると、この地は加賀藩の支城として城番が置かれました。明治維新で小松城が廃城となった後、1872年(明治5年)には徒刑場(現在の刑務所にあたる施設)が設けられましたが、1902年(明治35年)に金沢市へ移転。日露戦争のさなかの1905年(明治38年)3月、小松町が公園造成を決議し、翌1906年(明治39年)に三の丸の払い下げを受けて造成に着手、同年中に「芦城公園」と命名されました。案内資料によっては開園を1904年(明治37年)とするものもありますが、公園として本格的に整備が進んだのは1906年前後とされています。

1941年(昭和16年)には小松町が市制施行して小松市が発足し、芦城公園内で記念の式典が行われました。太平洋戦争中には前田利常の銅像が金属類回収令により供出されましたが、1966年(昭和41年)に再建され、現在も公園内でその姿を見ることができます。園内にはこのほか、1960年(昭和35年)に建立された元日本銀行総裁・新木栄吉の顕彰碑もあります。なお、小松城本丸の石垣は、公園から少し離れた石川県立小松高等学校のグラウンド脇に今も残されており、かつての城郭の広がりを感じさせてくれます。

基本情報

  • 名称:芦城公園(ろじょうこうえん)
  • 所在地:石川県小松市丸の内公園町19
  • 面積:約4.1ヘクタール(41,345平方メートル)
  • 開園時間:常時開放(園内の文化施設は施設ごとに異なる)
  • 入園料:無料(博物館・美術館など一部施設は有料)
  • 休園日:なし(施設の休館日は個別に設定)
  • 禁止事項:火気の使用(花見シーズンのカセットコンロを除く)、ロープ張り、大音量での演奏・カラオケ、自転車等の乗り入れなど
  • 問い合わせ:小松市緑花公園課(TEL:0761-24-8101)

アクセス

  • 北陸自動車道・小松ICから車で約5~10分
  • 小松空港から車で約10分
  • JR小松駅から徒歩約15分
  • JR小松駅から路線バス「市内循環北コース」で「松任町」バス停下車、徒歩約5分
  • JR小松駅から寺井線・佐野線・小杉線・国府線バスで「京町」バス停下車、徒歩約3分

芦城公園は小松駅から徒歩でもアクセスできますが、木場潟公園や那谷寺、小松空港周辺の観光スポットなど、小松市内を効率よく周遊するなら車の利用が便利です。
市役所に近い立地なので、車を停めてから公園散策と文化施設めぐりをゆったり楽しみ、そのまま次の目的地へ向かうプランが組みやすくなります。

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🚗 駐車場情報

芦城公園には公園専用の大きな駐車場はありませんが、隣接する市の施設の駐車場がいくつか利用できます。

  • 図書館利用者用駐車場:公園西側に約10台分の無料駐車場があります。図書館利用者向けですが、公園散策の際に利用している人も多いスペースです。
  • 小松市役所前・年金事務所前の駐車場:公園に隣接する市役所周辺の駐車場も利用可能です。近隣の「空とこども絵本館」専用スペースもあるため、目的地に応じて使い分けましょう。
  • 芦城センター駐車場:公園に隣接する文化施設「芦城センター」には47台分の駐車スペースがありますが、主にセンター利用者向けです。大人数での利用の場合は近隣の小松運動公園の駐車場が案内されています。
  • 周辺コインパーキング:芦城公園周辺には収容台数10台前後の民間コインパーキングも点在しており、最大料金が設定されているものもあります。
  • 小松駅周辺の時間貸駐車場:徒歩でのアクセスも検討する場合、小松駅周辺に3カ所・合計496台収容の市営時間貸駐車場(24時間利用可)があります。

桜の見頃となる4月上旬から中旬は、公園周辺の駐車場が特に混み合います。花見シーズンの夜間は「花見ぼんぼり」の点灯もあり来園者が集中するため、公共交通機関の利用や、市役所周辺の駐車場に空きがあるか事前に確認しておくと安心です。

見どころ

芦城公園はこぢんまりとした敷地ながら、池泉回遊式庭園としての見どころが凝縮されています。ゆっくり散策しながら、歴史と自然が織りなす風情を味わってみましょう。

💧 あやめ池・芦の滝

  • 園の中心にある池のひとつで、その名の通りあやめ(アヤメ)が咲く水辺です。
  • あやめ池の起点にあたる「芦の滝」は、周囲より一段高い築山から流れ落ちる、公園内でも高低差を感じられるスポットです。
  • 池に浮かぶ中の島には大きく手入れの行き届いた松の木があり、水面に映る姿が見事です。

🌸 桜池・お花見スポット

  • あやめ池から小川でつながるもうひとつの池「桜池」の周辺には、その名の通り多くの桜が植えられています。
  • 園内にはソメイヨシノを中心に、しだれ桜や八重桜など合わせて約130本の桜(3品種)が植樹されており、見頃は例年4月上旬から中旬頃です。
  • 桜の季節にあわせて4月上旬から中旬の間、夜9時まで「花見ぼんぼり」が点灯され、小松市内外から多くの花見客で賑わいます。屋台が出店することもあり、地元では定番のお花見スポットとして親しまれています。

🏔 築山(うずまき山)からの眺め

  • 池の背後に配された築山は、螺旋状に登る園路が特徴で、地元では「うずまき山」の愛称で親しまれています。
  • 頂上付近からは、晴れた日には遠くに白山連峰の山並みを望むことができます。

👑 前田利常銅像

  • 公園内には、この地に隠居して晩年を過ごした前田利常の銅像が立っています。
  • 太平洋戦争中に金属類回収令で一度供出されましたが、1966年(昭和41年)に再建され、現在もその姿を見ることができます。
  • すぐそばには小松城三の丸跡を示す石碑もあり、かつての城郭の記憶を今に伝えています。

🍵 茶室「仙叟屋敷ならびに玄庵」

  • 茶道裏千家15代家元・千玄室が設計・寄贈した茶室で、庭園を眺めながら静かな時間を過ごせる貴重な文化施設です。
  • 利用の際は事前予約が必要な場合があるため、訪れる前に小松市への確認をおすすめします。

🏛 小松市立博物館・図書館・本陣記念美術館

  • 公園内・隣接エリアには、小松の歴史や自然を紹介する小松市立博物館、小松市立図書館、そして小松市出身の銀行家が蒐集した美術品を展示する「本陣記念美術館」があります。
  • 庭園散策とあわせて、小松の歴史や文化に触れられる充実したラインナップです。
  • いずれも入館は有料(一部無料エリアあり)で、開館時間・休館日は施設ごとに異なるため、訪問前に確認しておきましょう。

🌉 あやとり橋

  • その名の通り、あやとりのような曲線的な意匠が特徴の橋で、渓流を眺めながら静かに散策できるスポットとして訪れた人に親しまれています。

🌳 遊具・広場

  • 園内には子供向けの遊具や広場も整備されており、庭園散策だけでなく、家族連れが気軽に遊べるスペースもあります。

季節の見頃カレンダー

  • :1月~3月上旬、3品種約83本が見頃を迎えます。
  • :4月上旬~中旬、3品種約130本。花見ぼんぼりの点灯もこの時期です。
  • :4月下旬~5月上旬に見頃を迎えます。
  • ツツジ(ヒラド・サツキ):5月上旬~6月下旬。
  • アヤメ:5月~6月、あやめ池周辺で見頃を迎えます。
  • 紅葉(モミジ):10月下旬~11月上旬。
  • 桜の紅葉:10月下旬~11月中旬。
  • 雪吊り(クロマツ):11月中旬~2月、冬の風物詩として松に雪吊りが施されます。

四季の楽しみ方

  • :梅・桜・藤・ツツジと次々に花が咲き誇り、特に桜の季節は花見ぼんぼりが灯る夜の散策もおすすめです。
  • :あやめ池のアヤメや新緑が水辺に涼を運び、木陰でのんびり過ごせます。
  • :モミジと桜の紅葉が織りなす彩りが庭園を包み込みます。
  • :クロマツの雪吊りと雪景色が、加賀の冬らしい静かな趣を感じさせてくれます。

訪問アドバイス

  • 所要時間は公園散策のみなら30分~1時間程度、隣接する博物館や美術館もあわせて見学する場合は1~2時間を目安にしましょう。
  • 花見シーズンは特に賑わいます。屋台が出店することもあり、4月上旬から中旬の週末は特に混雑するため、時間に余裕を持って訪れましょう。
  • 禁止事項にも注意しましょう。火気の使用(花見シーズンのカセットコンロを除く)、ロープを張っての場所取り、大音量での演奏・カラオケ、自転車等の乗り入れは禁止されています。
  • バリアフリー情報は小松市公式サイトで「芦城公園内バリアフリー散策マップ」が公開されているので、車椅子やベビーカーでの利用を検討している方は事前に確認しておくと安心です。
  • 茶室の利用を希望する場合は、事前予約が必要な場合があるため、小松市へ早めに問い合わせておきましょう。
  • 木場潟公園など他の小松市スポットとの組み合わせもおすすめです。芦城公園と文化施設めぐりで1~2時間過ごした後、車で木場潟公園や那谷寺方面へ足を延ばすプランが組みやすい立地です。

芦城公園【まとめ】

芦城公園は、加賀藩三代藩主・前田利常が晩年を過ごした小松城三の丸跡に明治期の人々の手で整備された、歴史と自然が調和する都市公園です。木場潟公園のような広域公園とは異なり、こぢんまりとした敷地に日本庭園、文化施設、桜の名所としての魅力がぎゅっと詰まっているのが芦城公園ならではの良さです。専用の大駐車場はありませんが、図書館利用者用駐車場や市役所周辺の駐車場を活用すれば車でのアクセスも便利です。

文化施設の開館時間やイベントの最新情報については、必ず小松市の公式サイトでご確認のうえ、小松散策のプランにお役立てください。