◎国分寺崖線が生んだ武蔵野の名庭!殿ヶ谷戸庭園を歩く

殿ヶ谷戸庭園(とのがやとていえん)は東京都国分寺市南町2-16にある都立庭園です。国の名勝にも指定されていて、多摩地区では唯一の国指定名勝庭園という肩書きを持っています。
何より面白いのは、国分寺崖線の段丘崖と谷戸という自然地形をそのまま生かした造りで、崖の上に広がる明るい芝生地から一歩下ると竹林や湧水池の薄暗い空気に変わる、あの体感の切り替わりだと思います。

もとは実業家・江口定條が大正2〜4年(1913〜1915年)に整備した別荘「随冝園」で、昭和4年(1929年)には岩崎弥太郎の孫にあたる岩崎彦弥太が買い取って別邸としました。昭和40年代に開発の話が持ち上がった際、地元の「殿ヶ谷戸公園を守る会」などの働きかけによって保存が実現し1974年に東京都が買収、1979年に都立庭園として開園した経緯があります。
清澄庭園と同じく岩崎家ゆかりの庭ですが、こちらは武蔵野らしい自然の起伏をそのまま楽しめる点が持ち味です。
この記事では、殿ヶ谷戸庭園の基本情報からアクセス、見どころ、四季の楽しみ方まで、これから訪れる方の参考になりそうな情報をまとめました。

📍基本情報

  • 所在地:東京都国分寺市南町2-16
  • 面積:約21,124㎡
  • 開園時間:午前9時〜午後5時(入園は午後4時30分まで)。イベント時は延長される場合もあります
  • 休園日:年末年始(12月29日〜翌年1月1日)。月曜日も通常通り開園しています
  • 入園料:一般150円、65歳以上70円。小学生以下および都内在住・在学の中学生は無料。身体障害者手帳などをお持ちの方と付添の方(原則1名)は無料。団体割引あり。みどりの日(5月4日)・都民の日(10月1日)は無料開放されます
  • 年間パスポートあり
  • 指定管理者:公益財団法人東京都公園協会
  • 問い合わせ:殿ヶ谷戸庭園サービスセンター 042-324-7991(お問合せ9:00〜17:00、お申込み・お支払いは9:00〜16:30)
  • 2011年(平成23年)9月21日、国の名勝に指定されました

🚗アクセス・駐車場

  • JR中央線・西武国分寺線・西武多摩湖線「国分寺駅」南口から徒歩約2分と、これ以上ないほど駅近な立地です

駐車場について

  • 殿ヶ谷戸庭園には駐車場がありません。正門付近への駐停車も遠慮するよう公式に案内されているので、車で来園する予定なら注意が必要です
  • 公式サイトでも「公共の交通機関をご利用ください」と明記されており、基本的には電車での来園が前提の施設だと考えたほうがよさそうです
  • どうしても車で来たい場合は、国分寺駅周辺のコインパーキングを事前に調べておくと安心です。駅前という立地上、時間貸し駐車場自体は周辺に点在しています
  • 紅葉シーズンや新緑の季節は来園者が集中しやすく、周辺の駐車場も埋まりがちです。余裕を持って探すか、最初から電車移動に絞ったほうが結果的にラクかもしれません

庭園自体は駅近で電車移動が快適ですが、国分寺エリアから多摩地域を広く回るなら車も選択肢に入ってきます。楽天トラベル(レンタカー)を利用すれば、殿ヶ谷戸庭園を起点に小金井公園や井の頭恩賜公園など、周辺の緑地をまとめて巡る旅程も組みやすくなります。庭園散策そのものは身軽に電車で、というのが結局いちばん無難な組み合わせだと思います。


🌿殿ヶ谷戸庭園の見どころ

💦次郎弁天池

  • 庭園の中心となる池で、崖下から湧き出す清水を集めてできています。かつては「次郎弁天の清水」と呼ばれた名水だったそうです
  • 東京都名湧水57選にも選ばれており、湧水量は毎分約37リットル、水温は年間を通じて15〜18℃程度に保たれています
  • この湧水は野川の水源のひとつにもなっていて、国分寺の地下水脈の豊かさを実感できる場所でもあります

🍁紅葉亭

  • 1934年頃に建てられた数寄屋造り風の茶室で、イロハモミジの紅葉を見下ろせることからこの名がついたといわれています
  • 新緑の頃と11月下旬から12月上旬の紅葉シーズン、紅葉亭から見下ろす池と木々の眺めは、この庭園随一の絶景だと評判です
  • 茶会や句会などで有料利用もできて、定員は約30名です。利用する場合は別途入園料が必要なので、その点は覚えておいたほうがよいでしょう

🎋竹の小径

  • 崖下に広がる孟宗竹の林を抜ける小径で、日本庭園としてはやや珍しい雰囲気を味わえます
  • 竹林特有の涼しげな空気が漂っていて、真夏でもひんやりとした心地よさを感じられる一角です

🦌鹿おどし

  • 紅葉亭のすぐ脇に、井戸水を利用した鹿おどし(ししおどし)が設けられています
  • 時折響くコン、という音が庭園の静けさをより際立たせてくれる、地味ながら効いている演出だと感じます

🙏馬頭観音

  • 文政7年(1824年)に建立された石仏で、この土地の歴史を今に伝える存在です
  • 庭園そのものは大正・昭和期の作庭ですが、こうした石仏があることで、もっと古い時代からの土地の記憶にも触れられます

🌸藤棚と萩のトンネル

  • 岩崎家の時代から受け継がれてきたフジが植えられた藤棚があり、春には見事な花房を垂らします
  • 秋には萩のトンネルも見どころのひとつになっていて、花木を通した散策路として親しまれています

🏛️主屋跡(展示室)

  • 岩崎家の別邸時代に食堂として使われていた場所が、現在は展示室になっています
  • 庭園の歴史資料がパネル展示されているので、見学前に立ち寄っておくと、その後の散策がより味わい深くなるはずです

🌳モッコクと武蔵野の植生

  • 園内で最も多い木は、岩崎氏が好んで植えたといわれるモッコクで、その数は300本を超えます
  • カタクリやニリンソウなど、今では貴重になった武蔵野の雑木林らしい野草にも出会えます
  • イロハモミジは約200本植えられており、秋にはこれが庭園全体を赤く染め上げます

🌸季節の楽しみ方

  • :フジやサツキが咲き始め、カタクリやニリンソウ、シャガといった武蔵野らしい野草も顔を出します
  • :アジサイやヤマユリ、ホタルブクロが庭園を彩り、竹林の涼しさが特にありがたい季節になります
  • :11月中旬から12月上旬にかけてイロハモミジが見頃を迎え、紅葉亭から眺める景色は一年で最も混み合う人気シーズンです。伝統技能見学会(雪吊り)やキッチンカーの出店など、季節限定の催しが行われることもあります
  • :ウメやツバキ、ソシンロウバイ、フクジュソウが静かな庭園に彩りを添えます。人出が落ち着く分、じっくり歩きたい方にはむしろおすすめの季節です

💡訪問のポイント

  • 足元に注意:崖上から崖下まで高低差のある造りなので、歩きやすいスニーカーなどで来園するのがおすすめです。小さなお子さんは保護者同伴でお願いします
  • 車いす通行ルート:起伏がある庭園ですが、車いすで通行できるルートも用意されています
  • ガイドツアー:毎週日曜日や第2・第4土曜日などにガイドツアーが行われることがあります。詳しい日程は公式サイトで確認してみてください
  • ゴミ箱なし:園内にゴミ箱は設置されていないので、出たゴミは持ち帰る必要があります
  • 紅葉シーズンは早めに:11月下旬〜12月上旬は特に混み合うので、朝のうちに訪れるとゆったり楽しめると思います
  • 周辺散策も一緒に:国分寺駅周辺には日本の宇宙開発発祥の地の記念碑など、ちょっと寄り道したくなるスポットもあります

殿ヶ谷戸庭園【まとめ】

殿ヶ谷戸庭園は、国分寺崖線という武蔵野台地ならではの地形を生かした都内でも珍しいタイプの回遊式庭園です。

崖の上と下でがらりと変わる空気感、湧き続ける次郎弁天池、紅葉亭から見下ろす紅葉の景色と駅から歩いてすぐとは思えないほどの奥行きを楽しめます。同じ岩崎家ゆかりの清澄庭園とあわせて訪れると、明治から昭和にかけての庭園文化の違いも見えてきて面白いはずです。

最新のイベント情報や紅葉亭の予約状況については、公園へ行こう!殿ヶ谷戸庭園の公式サイトで確認してから訪れてみてください。